森 の 詩

2022/10/06 01:24



森の詩で行う焙煎方法は「炭火の蒸し焼き焙煎」になります。

まず最初に生豆の選別を行います。「欠点豆」と言われている豆を取り除いてゆきます。
虫食い豆や未熟豆など様々ですが、時には針よりも細い穴の空いた豆も取り除いてゆきます。
とても細かな作業ですが、この工程を怠らないのは、
一粒でも欠点豆が混ざると、味に影響が出る可能性があるからです。
非常に大切な工程です。



次に、約50度の湯で2〜3回程生豆を洗います。
1度目の湯洗いは少し黒ずんでゆきますが、2回目、3回目と汚れが無くなってきます。
洗う理由のひとつには汚れや皮を取る事と、水分を含ませることです。
水分が焙煎時に蒸気熱となって、豆の奥深くまで熱を行き渡らせます。
また、野菜でもそうですが、50度の湯で洗う事で組織や細胞を活性化させる働きがあるため、珈琲豆が本来持っている潜在的な要素を引き出してくれると考えています。

湯洗い後は一晩寝かせた後に焙煎をはじめます。

焙煎時にはチタンの手廻し焙煎機を使い、熱源には信州の炭と富士山の溶岩石を使用します。
チタンの焙煎機は熱しにくく冷めにくいという特性があり、非常に軽く、強度があり、約1,600度までの耐熱性があるため、炭での焙煎にとても適しています。
また、使い方を熟知し、調和してゆければ、とても信頼のできる道具となります。

最初の準備として、三河の黒七輪に炭と溶岩石を敷き詰めてゆきます。
その後、炭を熾し、約一時間掛けて火を全体まで行き渡らせます。
炭の火が全体に行き渡った後、ようやく焙煎を行います。



最初にも記載しましたが、水分を含んだ豆を密封に近い状態で焙煎する事で
蒸気が生まれ、その蒸気熱によって豆の芯まで熱を与えてゆきます。
ある程度蒸した後は、自然な流れで焙煎に入ります。



写真は以前使用していた銅の焙煎機になります。

ガスの火の場合、豆の表面を早い時間で焼いてゆくため
豆の芯に含まれている水分をしっかりと取り除くことが出来ません。

しかし、炭はガスと異なり「赤外線」の熱のちからで、豆の中からゆっくりと焼き上げてゆきます。
また、溶岩は炭以上に赤外線量が多いため、より深くまで熱を通してゆきます。



こうした焙煎方法は一般的なガスの火で行う焙煎に比べ、2〜3倍の時間を必要とします。
長時間の焙煎は風味が落ちると言われていますが、
森の詩の焙煎方法では炭の影響もあり、風味が落ちる事なく、炭特有の香ばしい香りがどこまでも広がってゆきます。
さらに豆の芯の部分の水分量が抜ける事によって、豆自体が軽くなり
本来のやわらかさや深みが生まれます。
また、炭は燃焼時に多量の一酸化炭素を放出し、
その一酸化炭素が珈琲豆の酸化や劣化を遅らせてくれます。



自然のものを、自然なままに。