2020/05/28 19:04
森の詩で扱う炭は「間伐材」の炭になります。
間伐材とは
密集する木々の一部を計画的に伐り、森の中に十分な光を届け環境を整えていく作業を間伐、伐採された木材を間伐材と言います。
戦後、放置された間伐材
現代の森林の木々の多くは、戦後に植林されて育った木々になります。樹木の多くは比較的成長の早い杉をはじめ、檜木(ひのき)楢(なら)などが植えられています。
本来、植林された樹木は40〜50年以上の年月をかけて成長させてから木材にします。
戦後に山林所有者が植林した樹木のほとんどは、将来に伐採することを見越していましたが、戦後の経済発展直後は建築や家具などの需要が多く、国内で植えられた樹が育つ前に海外からの安い輸入材が多く使われていく様になりました。
日本の原生林には樹齢300年〜400年の大きな樹もありましたが値段が高いため、輸入材が主になりました。
その後も日本の材木を使用されることは少なく、戦後植林された樹木は伐採されないまま残っています。
今では荒れて鬱蒼とした森の光景を目にすることがよくあります。
災害が多くなった原因
戦前までは人々の暮らしの中に囲炉裏や薪風呂など「火」の存在は日常の中にあり、自然のエネルギーを上手に生かしていました。
そして、人々は里山からの恩恵を頂いていたことで、自然豊かな暮らしが存在していました。
しかし、経済の発展と共に多くの人々はその場所から離れ、次第に里山は荒れてゆきました。
「害獣」とされている多くの動物達は、人間がその領土を明け渡した結果として、彼らの住処になっていったのではないでしょうか。
そして、放置されていったことで木々は徐々に密集してゆき、陽の光が入らなくなっていったことで下草が育たなくなり、植物の多様性や動物たちの食糧、生態系のバランスなどが失われ、動物たちも里に降りてくる様になったのではないでしょうか。
また、地表の土が露出し、木々に十分な栄養が行き渡らなくなることで木の根は弱くなっていきます。そのため、雨水を蓄える力をなくし、洪水や土砂崩れや倒木といった災害を引き起こす原因のひとつと考えています。
間伐材の炭を使う理由
間伐された地表には十分な光が入る事によって、草や低木が育ち、地表の土が雨風などから守られ、枯れた草木は肥料となり豊富な土壌が保たれます。
また、杉や桧などの育った低木や草が二酸化炭素を吸収し、地球温暖化を防いでくれます。日本の間伐材を上手に利用していくことは土砂などの被害を減らしていくだけでなく、里山の再生にも繋がっていくと考えています。
現代では因果関係によって様々な災害が増えてきています。自然との関わりが薄れ、便利さによって様々なことを忘れていった私たちの暮らしですが、災害を含め「自然たち」はいつも私たちに大切なことを思い出させてくれます。