〜 喫茶『森の詩』への道 〜 石場建て8月後半から行われていた石場建ての礎石工事が9月20日頃に無事、終わりました。今回、基礎工事は土地の造成をやって頂いた大地の再生の赤尾さんと吉田さんにお願いをしました。素晴らしいお仕事に感銘を受けるのと共に僕自身も少しですが、作業に関わりながらひとつひとつ、丁寧に積み重ねてゆくその工程の中で、改めて思った事がありました。外から見て感じる世界と、実際に触れて体感する世界がこんなにも違うのだと。先人達から受け継がれてきた伝統的な技術や知恵、そしてそれらを重んじる意識を僕らが次の世代へと残してゆく必要があるのだと。こうした手仕事や、自然との関わりの中から生まれてゆくその素晴らしさを、これから生きてゆく子供たちに残してゆきたい。未来の子供たちのために。設計士や職人の方々をはじめ手伝って頂いた方々やその工事をあたたかく見守ってくださった地元の方々へ、感謝を込めて。これより先の文章は、石場建てについて、また、その工程を書きました。少し長いかもしれませんが、出来る限り簡素に書き記したつもりなのでご興味ありましたら、一読してみてください。「石場建て」という言葉を聞かれた事はありますか?石場建ては建物を支える基礎(土台)になります。基礎は言葉の通り肝腎要の役割を担っています。戦後、日本の建築の世界は高度な技術が求められる伝統構法を簡略化させた在来工法へと移行してゆきました。在来工法は主にベタ基礎、布基礎といって、住宅の底面全体に鉄筋コンクリートを流し込んだり、断面形状の鉄筋コンクリートを連続して設けた基礎になります。現代ではこうした基礎が一般的となります。一方で石場建ては独立した基礎石(礎石)の上に柱が乗ります。古民家や神社仏閣などでも見られる伝統的な構法で、自然と調和する建築のあり方を表しています。コンクリートは土の呼吸を止めてしまいますが、石場建ては雨水を浸透させ、風を通すことで、土全体が気持ちよく呼吸してゆきます。また、地震の際は石の上で揺れ、柳の様に力を逃してゆく免震性の高い構法です。地震や湿度の多い日本の風土に合った構法なのだと思います。そして、その基礎となる礎石ですが、ひとつ据えるだけでも多くの工程があります。この先は技術的な内容になりますので、写真と共に読まれてみてください。① 穴掘り最初に、それぞれ柱が建つ場所に、重機で大きな穴を掘ってゆきます。② 炭掘った穴に炭を撒いてゆきます。炭を土に撒く理由には、土中の改善や湿気を取り除く作用の他にも菌糸を付け、土とのネットワークをつくってゆく働きがあるそうです。③ 割栗石次は「割栗石」を敷き詰めてゆきます。割栗石は20〜30cmほどの岩石を打ち割ってつくる小塊状の石になります。1.3kgの金槌でその石を力強く叩きながら、しっかりと固定させてゆきます。それを二段ほど敷き詰めた後に、小さな栗石や砂利を間に詰め、更に叩きながらしっかりと固定させます。この、ひとつひとつの石達が建物を支えてゆきます。④砂利石次は砂利を敷きます。実際に礎石を据えた時の高さは計算されているので、礎石を据えた時にちょうど良い高さになる様砂利を敷いてゆきます。⑤有機物砂利の上に草などの有機物を敷いてゆきます。この有機物は「地上と地下」を繋いでゆく上で、とても重要な役割があるそうです。⑥重機で押す砂利と割栗石が更に固定される様、重機を使い、上から押してゆきます。⑦礎石を置く固定された後は、向きや位置を確かめながらゆっくりと礎石を置きます。そして、建物が建った後に礎石が沈まない様、更に礎石の周りの隙間に砂利石を詰めてはバールで押し付け、叩きながら固定してゆきます。⑧礎石を固定礎石が固定された後は寸法を計り、必要に応じて重機を使い上から押してゆきます。礎石を添えても柱が建つ石の表面を水平にする必要があるため、更にビシャン加工という工程があります。ビシャンは石材やコンクリートの表面を加工する時に使う鉄槌になります。正方形で、槌の面には四角いスパイク状の突起が格子状に並んでいます。先端の突起部分は非常に硬い金属、超合金で作られているそうです。⑨石鑿ビシャン加工の前に、石鑿(イシノミ)を金槌で叩き高さを調整し、凸凹した石を水平器を使いながら平にしてゆきます。⑩ビシャン最後にビシャンを使い、石の表面を削りながら細かい凹凸をつくり、粗面に仕上げ、自然の風合いを出してゆきます。以上となります。大胆で繊細な、とても見事な仕事でした。建築の世界に限らず、こうしたひとつひとつの手間や丁寧さがこれからの未来を支えてゆくのだと思いました。